北朝鮮の核問題と東アジアの安全保障

 

       (財)DRC 研究専門委員 

   

 

序  言

 2001911日に米国で起ったトランスナショナルな無差別テロへの国際的な対処として始まったアフガニスタンで軍事行動が完結しないうちに「イラク戦争」が始まった。そしてフセイン政権は崩壊したものの、いまだこの軍事行動が終結を見ないままに、今度は東アジアで北朝鮮の核の脅威が顕在化して緊張感が急速に高まってきた。これはテロとともに国際安全保障上重大な懸念である大量破壊兵器の拡散問題を悪化させかねない。そうなればこれは東アジアにとどまらず世界の平和と安定にも暗い影を落とすことになる。

 そこで我々東アジアに位置する国にとって共通の課題であるこの問題について考察する。

 

1.金正日総書記の戦略目標とその推進状況(1)

  国際問題として再浮上した北朝鮮の核について論じる前に、その背景となる金正日総書記の対内外政策の考え方、特に近年の基本的な戦略目標とその現状について概観する。

  長引く食糧やエネルギー不足など、経済的困窮が続く北朝鮮の金政権は、近年経済の抜本的な改革を目指して、内外政策に変化が見られるように思われた。しかし、昨年自ら核開発を示唆したことで、1994年6月の「枠組合意」に反する疑念が表面化して米国が対北姿勢を硬化させるとともに、金政権も再び瀬戸際戦略をとり始めたことによって、状況が再び悪化してきた。

  現在の状況下で金総書記が描いていると思われる基本的な戦略目標は以下の4つに集約されると考える:@独裁体制の維持、A経済改革、B米国の軍事的脅威の回避・軽減、C韓国に対する優位又は等位での和解と統一。

   金政権は、近年これらの戦略目標のうち、外部からの経済支援や先進技術の導入等を促進して「経済の抜本的改革」を図ることによって現在の経済危機を克服し、更に「強盛大国」を目指そうと、例えば対外的には短期間(20001月〜2001年4月)に英国、カナダ、ドイツなど13カ国との国交の樹立、回復を実現(1990105カ国→20037月現在151か国)(2)するとともに、EUとも公式な外交関係を樹立( 2001年5月)した。また、2000年6月の歴史的な南北首脳会談を始め、金総書記自らの訪ロ、訪中に加えて、EU代表団の訪朝をはじめ、実務者レベルにおいても具体的な国際交流を活発に展開してきた。このように北朝鮮が積極的に国際舞台に進出することは望ましいことである。

   一方内政においても、農業や工業などでは過去の古いやり方や既存の観念から脱却するとともに、ハイスピードで進歩を続けるITなど科学技術を駆使した技術革新を人民に対して強く求めている。

   しかしながら、昨年米国務省のケリー次官補に核開発を示唆したこと、日朝首脳会談で日本人「拉致」を認め、その後の対応などから、KEDO支援の凍結、米国による重油の供給中止、拉致問題に対する日本の強硬姿勢などによって経済や技術支援が停滞し、金政権は未だその出口が見えないままジレンマに陥っているのが現状であろうと考える。

 

2.北朝鮮の核兵器の能力と脅威

 

(1)北朝鮮の公表内容の信憑性

米朝関係悪化以来、北朝鮮は核問題の解決と引き換えに、北朝鮮への不可侵条約の締結及び金独裁体制の維持を保証させるといういわゆる瀬戸際政策を展開して、米国との2国間協議を強く求め続けたが受け入れられず、結局827日〜29日の「6カ国協議」に応じることで合意した。

北朝鮮はその意義や成果を表向き認めていないが、初めての会談であり、パウエル米国務長官が公表したように「会談を評価する。多国間で話し合いを持てたことが重要なステップである」(3)というのが大方のコンセンサスであると思う。

北朝鮮の公的な発表について、李洪九(LEE Hong-Koo)韓国元首相は「北朝鮮の戦略は、先ず危機をつくる。そして交渉する。緊張を緩和する代わりに代償を求める。現在の危機は再度これが出ている」と述べた。(4)、しばしば外交上の取引を目的とするため、公表内容の真偽を見定めることが難しい。そこで先ず北朝鮮の核兵器の能力と脅威に関わる幾つかの事実を抽出し、次いでそれらの評価について考えてみたい。

(2)核兵器の能力に関する公開情報

 a. 北朝鮮の公的発言

   北朝鮮は米国の目標を世界のいかなる場所でも攻撃できるであろう。その攻撃は世界中の全ての米軍の人員及び全ての軍の司令部に指向される。朝鮮半島を取り巻く他の国も新たな朝鮮戦争に不可避的に巻き込まれよう。(5)

   北朝鮮はまたもっと“強力な武器”を持っている。(6)

  b. 米国関係者の発言

  (a) 米政府による発表(7)

   ・ 北朝鮮は平壌においてケリー(James Kelly)米国務次官補に対して、「濃縮ウランの処理による秘密の核兵器プログラムを進めている」ことを明らかにした。

   ・ 北朝鮮は1995年以降、報じられるところによるとパキスタンの支援を得て、秘密の濃縮ウランプログラムを開始した。

    (b) 米情報機関による公表

   ・ 北朝鮮は2004年には濃縮ウランによる1発の原子爆弾を製造出来そうである。(CIA発表;200212)(7)

   ・ 北朝鮮は米国西部に到達できる未実験の弾道ミサイルを持っている。〔ジャコビイ(VA Lowell Jacoby)DIA長官〕(8)

・ 北朝鮮は長距離ミサイルで米国西部に到達できる能力を持っている。〔テネット

   (George Tenet)CIA長官;上院軍事委員会〕(8)

(c) ペリー(William J. Perry)元米国防長官9

  北朝鮮は本年7月中旬、凍結されていたプルトニウム抽出のための再処理作業を行っており、今年末までに6個の核爆弾を製造できることが分かっている。

 ・ 彼らは既に原子炉を再稼動しており、来年(2004年)までに年間510個の核爆弾を製造する能力を持つであろう。

(d) その他

  米国の見積もりでは、多分核兵器級のペイロードを太平洋を横断して運べるであろう。10

(3)核兵器に関する能力の考察

   前項に提示した情報中、北朝鮮当局から発信されたものについては直ちに信頼し難いが、米国情報特に1994年危機と「枠組合意」において国防長官として関わり、かつ科学技術及び軍備管理の専門家であるペリー氏の発言には注目したい

   先ず核兵器としての能力の評価においては、核爆弾(弾頭)の製造能力とその運搬投射能力(飛距離・投射重量・精度)は重要な要素となるが、現在までに、弾道ミサイルを運搬手段とする場合の核弾頭の小型化及び投射重量並びに弾着時の精度(半数必中界:CEP)に関する確たる情報が見当たらない。また核実験やミサイルの飛翔実験も見られないことも併せてこれら重要なデータが表に出ないため、純軍事的な能力評価(特に対ハードターゲット)は困難である。

   パウエル米国務長官も、前述の会見で、北朝鮮当局の核実験などに関する発表に対して、「“交渉戦術”であって、重要視していない」と述べている。

   次に、既述のペリー元米国防長官の証言によると、今回の状況について、「実際、この危機は真に新しいものではない;多くの面で1994年6月の朝鮮危機の再発だ」と指摘するとともに、当時の選択肢として、@攻撃的な外交戦略を表明する、A核兵器製造計画を受け入れる、そしてB計画阻止のために戦争をする―の3つの対処戦略を持ちながら、「当時5発程度の核爆弾を直ちに製造するのに十分な核燃料の再処理をまさに始めようとしていたヨンビョンの核施設に対して、私は精密誘導通常弾頭による限定攻撃の準備を指示した」と述べている。そしてこれを思いとどまった理由として、この攻撃に成功しても北朝鮮の韓国への侵略を誘発する可能性が高いと判断したことを挙げている。11

    またシュレジンジャー元米国防長官も、「(北朝鮮に対する)軍事行動について我々が最も懸念しているのは、非武装地帯から26マイルしか離れていないソウルへの損害を防ぐことであり、1000門を超す大砲群を先ず取り除かなければならない(要旨)」と述べている。12

   核兵器に対する能力や脅威を評価する際、兵器技術の向上や生産に要する時間的要素も考慮しなければならないと考える。ペリー氏もこの点を指摘して、「我々が何をしようと、北朝鮮の核の野望をさえぎる本質は“時間”である。23ヶ月のうちに、北朝鮮は燃料棒から危険な既成事実―およそ5発の爆弾に十分な兵器グレードのプルトニウム―を造り出せるであろう。プルトニウムが一旦処理されると、どこにでも移動させられて、発見したり除去したりすることをもっと困難にする」と警告している。

 

3.核兵器拡散への危機とその影響

   IAEAのエルバラダイ事務局長は、本年1月その緊急理事会において、「北朝鮮は1993年以降“(IAEA)保障措置協定”の対象となる核物質をすべてIAEAに申告したかどうかを検証できなかった。北朝鮮が核物質を核兵器またはその他の核爆発装置に転用していないことを検証できない。今後数週間、数ヶ月間が不拡散体制にとって重要であると考える。紛争の解決を核兵器使用の威嚇など、瀬戸際政策に結び付けてはならないことを全ての当事国が理解しなければ、成功はありえない(要旨)」と述べた上で、「過去40年間にわたり、国際社会は核兵器の拡散を防ぐと同時に核軍縮へ移行することを目指す普遍的な体制の確立に苦心してきた。残念ながら、最近この体制は後退させられている」と現状を総括している。13

  又前述のペリー氏は、北朝鮮の核が深刻な安全保障上の問題であるという理由の1つとして「北朝鮮の核プログラムが、韓国、日本及び台湾に対して彼ら自身の非核状態に疑問を抱かせ、東アジアに拡散のドミノ効果を惹起するかも知れない」と述べている。14

   その元になる「核兵器不拡散条約(NPT)」は、発効から30数年が経過して締約国が187カ国を数え、世界の軍備管理及び核軍縮に大きな役割を果たしてきたが、近年核やミサイルの開発及び実験などで問題を惹起しているのは、インド、パキスタンのような非締約国、そしてNPTから再度の脱退を表明した北朝鮮のような国である。またこれが手段を選ばない、トランスナショナルなテロリストの手にわたって使用される可能性があることも差し迫った脅威となる。

   この危機への対応には、締約国など国際的な強い結束と連帯をもって当たらなければならないが、先ず本条約に言う「核兵器国」であり、同時に「国連安保理常任理事国」でもある米国、ロシア、英国、フランス、中国の5カ国が、本条約の主旨に基づき、自らの軍縮はもとより、地球上における核兵器をはじめ大量破壊兵器の拡散防止に一層の努力を払う責務があると考える。

 

4. わが国の対応

 

(1)対応の基本姿勢

わが国は日米安全保障体制のもとに米国の(報復的)核抑止力に依存するとともに、北朝鮮に限らず、核兵器はもとより大量破壊兵器の拡散を阻止するため積極的に国際協力を図ることを基本姿勢としている。

既にわが国は「核兵器不拡散条約(NPT)」及び「包括核実験禁止条約(CTBT)」に加盟し、ともに署名と批准を終えている。川口外務大臣は、本年オーストリアのウィーンで開催された「第3CTBT発行促進会議」(93日)及び「軍縮会議」(94日)で相次いで演説し、わが国の非核政策など軍縮と平和に対する基本的な考え方を強調するとともに、CTBTの未署名国の北朝鮮、インド、パキスタンや米国、中国など9カ国の未批准国に対する署名、批准促進による条約の早期発効を強く求めた。

しかしながら、将来わが国に対する北朝鮮の核ミサイル攻撃が行われた場合には、発射後数分以内での対応が求められるため、米国の核抑止力の補完的な拒否的抑止効果を期待した「ミサイル防衛システム」は選択肢として意義があると考える。(細部後述)

我々は今回の北朝鮮の核及びミサイル問題のほかに、国民の関心と解決への思いがより強い「拉致問題」が依然未解決の状態にあり、わが政府は双方を合わせて「対話と圧力」をもって対応すること、並びに国際協調特に韓国及び米国との連携を最重視して取り組むことを基本としている。

しかし、北朝鮮への具体的な対応行動は、各国それぞれの国情や環境特に北朝鮮との関係が異なるため、3カ国が必ずしも全く同様のアプローチをとらないとしても、北朝鮮の核開発を排除するという目的と戦略目標を共有した上で、適時の情報交換を含んで相互に連携しつつ、各国に相応しい対応をすべきであろうと考える。その際、北朝鮮の政治体制及び外交術の特異性から、米国の軍事的圧力の選択肢は北朝鮮との対話を推進する上でも重要であると考える。

(2)防衛体制の見直し

わが国の防衛構想及び防衛力整備の基本的な考え方は、冷戦後の戦略環境に照らして199511月、閣議及び安全保障会議の決定によって制定された「防衛計画の大綱」に基づいている。しかし、冷戦終結から既に十年以上を経過して、大量破壊兵器の拡散やトランスナショナルなテロの脅威、或いはまたRMAなどがその後の戦略環境に少なからず影響を及ぼしてきた。また国連を中心とするPKOなど戦争以外の行動に対する軍隊による活動のニーズが高まっている。従ってわが国の防衛構想もこれらの情勢の変化に照らして可及的速やかに見直しを要すると考える。特に今回の北朝鮮の核及びミサイルの脅威や最近表面化した対日不法工作活動に対する対応について、わが国の今後の防衛及び治安体制確立上十分考慮しなければならない。

(3)ミサイル防衛システムの導入

ここで、最近わが国で新たな装備導入が予定されているミサイル防衛システムについて付言したい。

    a. システム導入の考え方と予算要求の概要

「専守防衛」及び「非核3原則」を安全保障政策の基本前提としているわが国は、外部からの弾道ミサイルなどによる核攻撃に対しては、日米安全保障条約による米国の核抑止力に期待している。

しかしながら、北朝鮮の核のように至近距離からの弾道ミサイル攻撃を受ければ、発射後数分でわが領土に着弾することになり、米国による適時の来援、反撃を期待し得ないことはあり得るし、現在この攻撃から自国及び自国民を守る手段はない。

先に考察したように、北朝鮮の核能力とその脅威の程度を正確に見極めることは難しい。一方国家・国民の存立や生存に関わる一国の防衛は、可能性の大小に適応して対応するよりも、最悪の事態に備えることが必要である。また同時に外部に脅威を及ぼさないための不断の配慮も必要であろう。

石破防衛庁長官は、「弾道ミサイル攻撃に対し、わが国の国民の生命・財産を守るための純粋に防御的かつ、他に代替手段のない唯一の手段としてBMD、即ち弾道ミサイル防衛システムを導入することは、わが国が弾道ミサイル攻撃に対する防衛能力を獲得するとともに、このような攻撃に対するわが国の新たな「抑止」能力を獲得するという、わが国の防衛政策上極めて重要な意義を有するもの・・・」15と説明し、2004年度防衛予算に、2007年配備分として、1,341億円の概算を計上して要求した。その内容はイージス護衛艦搭載の“SM3”と、パトリオット地対空ミサイルの“PAC3”そして指揮・通信システムで構成されている。16

 b. 今後の課題

石破防衛庁長官はシステム導入の必要性の説明と合わせて、ミサイル防衛システムの導入に伴って予想される批判に関して、@マッハ10で飛ぶミサイルを撃ち落すことは出来ない、A費用が掛かりすぎる、B対抗出来るミサイルを持つべき、C軍拡を招く、と4つを挙げている。17

長官が指摘する第1及び第2点については、現時点で論じるには未知の要素が大きすぎるが、第3及び第4点に関連して、内外に核抑止のバランスが崩れる、或いは日本は核武装するのではという見方が出ていることには説明を要しよう。

先ず核抑止のバランスについては、冷戦間米ソ間に締結されていた「ABM条約」の核抑止理論の裏づけにもなっている「相互確証破壊(MAD)」の考え方によるものであろうが、わが国が考えているミサイル防衛システムは、領域に限定した純防御的なもので、理論的にも非核政策を堅持すること、即ち矛(核ミサイル)と盾(MD)の双方を持たないこと、及び本システムで100%の防護力の保証が困難であることなどを勘案すると、広域における全般の核抑止効果を無力化するものではないと考える。

次に日本の核武装について、わが国は大戦後半世紀以上非核政策を堅持しており、唯一の被爆国家として国民の核兵器への拒絶意識の強さは依然衰えていない。加えて戦後培われた主権在民による民主主義の思潮は、この半世紀以上の年月を経た現在成熟の域に入り、今や青老を問わず過去の戦時の国家・政治体制及び軍事体制に逆行することは想像さえし難い。しかしながら、これだけの釈明では対外的に客観的で説得力のある論証にはなり得ないかも知れない。

一般論として言えば、確かに米国の核抑止の信頼度が客観的に低下したり、更に例えば金正日総書記のような為政者が正常かつ冷静な判断或いは意思決定を欠いた場合などにわが国が核攻撃を受ける可能性は否定できず、ミサイル防衛システムだけで完全な防衛が保証されないとすれば、それよりも主導性が発揮でき、かつ防衛システムよりも一般に少ない経費で抑止効果が得られる等価の核ミサイルを持つという選択肢は存在する。その選択をせざるを得ない状況にならないためにも、わが国は米国との信頼関係の維持強化努力を続けるとともに、世界の軍縮及び大量破壊兵器の拡散防止に逆行する一部の国家の核兵器の開発、整備及び拡散に対して強固な国際連帯、協力によって阻止する活動に、より積極的に取り組むことが重要と考える。

        今年1月「ワシントンポスト」がネオコン派のコラムニストによる「日本核武装論」を掲載したという。掲載の理由について執筆者は、「日本を挑発し、日本のタブーを破ろうと思った。北朝鮮の核の脅威に対し、日本は最終的に“核武装”するでしょう。・・・」と答えている。18

     わが国は戦後の憲法に基づき、軍事や軍事力に対しては他国に例を見ないほど国際的常識から特異な国であるが、それでも米国での無差別大量殺戮テロ、いわゆる“9.11テロ”の衝撃や、北朝鮮のスパイ船の不法侵入、日本人拉致などの事実を眼前に見て、平和の理念と現実の格差を自覚し、国家安全保障や防衛に対する関心が高まってきたように思う。最近の世論調査においても、安全保障や国防、自衛隊などに関するものが多く見られ、それらの回答にも現実を直視する意見が増えてきたが、「日本の核武装」についての質問や意見を求めるものは殆ど見当たらない。

ここに、国会議員を対象とした僅か2件の関連テーマの調査結果を見出した。その1つは、朝日新聞と東京大学の共同によるもので、全衆議院議員475人(欠員5人を除く)を対象に、行ったものの中にある。19それによると、「日本の核兵器保有」についての考えでは、全員が「反対」と回答した公明党、共産党、社民党の3党をはじめ、各党とも「反対」でほぼ一致している。衆議院では与野党を通じて「核武装には反対」の合意が形成されている、としている

ただ、自民党には「どちらかといえば賛成」と答えた議員が1人いた。「どちらとも言えない」は自民党26人、民主党7人、自由党3人で全体では1割程度の少数派だが、タブーとされてきた日本の核武装の是非について、国会議員が考え始めている様子も伺える、とこの調査は結論づけている。

もう一つの調査は、週刊誌「アエラ」が20 代、30代の全議員48人に実施し、うち45人から回答を得たもので、「日本は将来的に核兵器を保有すべきだと思いますか」の質問には、36人が「保有すべきではない」と答えた一方で、6人即ち40歳未満の若手国会議員の13%が「選択肢として検討すべきだ」としたことになる。また「北朝鮮の脅威によって日本が戦争に巻き込まれる事態が生起する可能性」については37人(82%)が肯定し、北朝鮮の脅威に危機感を強めている。20最近の北朝鮮の脅威に対する危機感に関しては、その他の一般的な世論調査においても、ほぼ類似の数字が示されている。

 

結  言

 最近北朝鮮がとったNPTからの脱退宣言、IAEA査察官の国外退去、そして原子炉再稼動という一連の行動は、いかなる理由があるにせよ、1994年の「枠組合意」に背くだけでなく、現下の世界の軍縮及び軍備管理、特に大量破壊兵器の開発、実験、配備、そして拡散を禁止しようと努力している国際秩序に逆行するものである。

このような政策が自国或いは自己政権を利することになると金政権が認識しているとすれば、東アジアの安全保障のためにも、我々は結束してこれが決してそうならないことを認識させなければならない。またこのような言動が、李元首相が指摘するように、外交上の取引を目的とするものであるならば、そのような恐喝的な言動が国際的に全く通用しないだけでなく、ひとつ間違えば東アジアに戦端を開きかねず、そうなれば問題の解決はおろか、北朝鮮を含んで地域の関係国と国民に甚大な被害を生じることを深刻に理解させなければならない。

従ってこの問題の平和的解決を図るためにも、現在150カ国を超える国との国交を有し、国連加盟国でもある北朝鮮が、国際舞台においてそのルールを遵守し、国際社会の一員として責任を果たすよう、より広範な国際協力と連帯によってより強固に働きかける必要がある。

 同時に、核をはじめ軍事力によるこの種恫喝を無効にし、最悪の事態を回避し得る防衛体制を整えておくことも必要である。我々は不安定な時代こそ、地域や世界の平和の維持回復に努力を注ぐ一方で、予想される危機に応じて自国や国民を守る防衛体制の確立を怠ってはならないと考える。

【本稿は、韓国“21世紀軍事研究所”での「日韓安保コンファレンス」発表用に起草したものである。(平成15910日記)

 

注:

1.DRC年報 2002年版:「北朝鮮の戦略及び政策の変化と今後の展望(筆者)」

2.mofa.go.jp/mofaj/area/n-korea/data.html

3.NNN-TVニュース「6者会談に対する米国務省発表」: 2003.8.29

4.読売国際会議 2003;「北朝鮮の核と東アジアの安全保障」(経団連ホール):2003.5.12

”The Daily Yomiuri”: 2003.2.14, P1

”North Korea’s Nuclear Weapons Program” (Congressional Research Service; The Library of Congress):Updated March 17,2003

同上

8.”The Daily Yomiuri”: 2003.2.14, P1

9.「読売新聞」朝刊:2003.7.30,P7

10”The Daily Yomiuri”: 2003.2.14,P1

11”Crisis on the Korean Peninsula: Implications for U.S. Policy in Northeast Asia”〔スタンフォード大学(2003.1.4)及びブルッキングス研究所(2003.1.24)での講演〕

12TV東京:日高レポート「朝鮮半島情勢」: 2003.7.13

13usembassy.state.gov/Tokyo/wwwhjp0278.html

14.“Crisis on the Korean Peninsula: Implications for U.S. Policy in Northeast Asia

15.石破防衛庁長官記者会見: 2003.8.29

16.防衛庁:平成16年度防衛力整備と概算要求のポイント

17.小泉内閣メールマガジン第104:2003.7.24

18TBSTV「サンデー・モーニング」:2003.8.10

19Asahi.com: 2003.8.27

20.「朝日新聞」朝刊:2003.6.7,P4

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