今、わが国が早急にやるべきこと
―「イラクの自由作戦」を通して考える―
(財)DRC研究委員
2003年3月20日に戦端の火蓋を切った米英軍による「イラクの自由作戦Operation Iraqi Freedom」は、5月1日夕刻(日本時間2日午前)米空母エイブラハム・リンカーン上でのブッシュ大統領の戦闘終結宣言で一応の終わりとなった。彼我の戦力比等から開戦前の大方の予測通りの短期戦であった。大統領は宣言の中で「この戦闘で、われわれは自由の大義と世界平和のために戦った」とその目的の崇高なることを改めて示し、また、今回の戦争が「世界でこれまでに見たことのない、敵も予測しえなかった精密さと迅速さ、そして大胆さを組み合わせた戦いだった」と説明した。
余りに強い米国の力、一国主義を嫌い、反戦・反米の動きは世界的に大きかったものの、わが国は北朝鮮の核疑惑等諸問題を抱えていることもあり、新たな国連決議の必要性は主張しつつも政府はいち早く米国支持を表明した。
戦争とは言え、今回はイラク国家全体を対象としたものではなく、フセイン一族とその政権の打倒を目指し、結果的にイラク国民をフセイン政権の悪政から解放するとした、従前の戦争概念とは異なっている点、国連の機能が改めて問われた点、戦争遂行の道具立てが更におおきく変革した点、戦争で勝った者と負けた者が歴然と判別できないこうした戦後処理を強いられる点、加えて、ますます多次元、多彩となったマス・メディアの報道戦争等々、わが国の復興支援策のあり方を含め今後のわが国安全保障上、十分に研究討議する事項が多く含まれていると考える。
イラク戦争の目的、その是非論、正当性論議は別の機会に譲ることとして、今回の戦争における戦略・戦術及び投入装備等に焦点を絞り、わが国の問題点提起の材料としたい。
1.米国にとってイラク戦争とは?
(1)軍事戦略・戦術的観点から
戦争終結宣言から丸2ヶ月が経過しても、依然として実質的な戦闘状態が続き、戦死者数も湾岸戦争での数を上回り、米国が一番恐れる「ベトナム化」を懸念する声も聞かれるようになってきた。その上、大量破壊兵器保有の具体的な証拠が発見できないこと、アフリカから核物質を購入したとする情報が偽情報であったこと等により、米国の唱える「イラクの武装解除と国民を解放し、世界を重大危機から守る軍事作戦」であり、「大量破壊兵器を保有するイラクから米国民を守る自衛の戦い」という大義の是非が問い直されはじめたことに加え、国連による新たな決議の要否、米欧、特に独仏との意見の対決、予防戦争・先制攻撃の是非等々、「第2次湾岸戦争」と位置付けられる今回の戦いのあり方が、今後もしばらくの間、世界の各地で、色々な形で多くの議論を呼ぶことと思われる。
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今回の「イラクの自由」戦争が過去の戦争と比べ違っていた点は、改善された戦力、より良い情報、及び確かにより反応の良い指揮・統制をもって統合部隊(joint team)が共同して投入されたこと、異なった軍種(different services)が力を合わせる形で投入されたことだ。
A戦力改善について言えば、殺傷性が大きくなったばかりではなく、スピード、知能、残存性及び正確さが加わった。そして、何よりも重要なことは、こうした改善された能力が、より迅速な意思決定サイクルを可能とした点だ。また、彼我の損耗を極めて減少させることに大きく貢献している。
B適時・確実な情報と言う点では、どんな殺傷性の高い戦力も、それが間違って指向された場合は全く意味のないものとなる。従って、戦力投入には確実・正確な情報がカギとなる。米国の情報システムは非常に改善された。
信じられないことだが、10年前には、パイロットは自分が攻撃すべき目標写真情報なしに出撃したが、今回の戦いではグローバル・ホークやプレデターは約4週間で42,000目標の写真情報を収集した。こうした情報収集手段のみならずいろいろな点から改善・改良が加えられ、週7日、1日24時間、常時必要な情報が入手可能となり、戦力の改善とあいまって、なによりも指揮・統制面で大きな寄与をした。
C迅速な指揮・統制では、通信システムがその心臓部を構成する。軍の能力改善のためには通信システムの改善が必須となる。例えば、2次大戦ではおおよそ1分間に60語、ベトナム戦当時は100語を送受信できた。「砂漠の嵐」作戦では、それが200,000語となり、毎分辞書を送受信する程度となった。91年当時では決して悪いものではなかった。しかし、先月イラクでの作戦支援のためには、「砂漠の嵐」作戦時の30倍、すなわち30×200,000語の通信量が必要となった。その上、そうしたデータの洪水状態を知識に変換し、計画作成に利用できなければ意味がない。
D米国の新たな戦い方:増強された戦力、適時な情報、迅速な指揮・統制(意思決定)が確実な決定力を構成すると予測。そして、その戦力でもって、敵の戦力の柱を攻撃でき、尊い人命を含む価値ある財産を失うことなく、また、戦傷死者を確実に減らせると確信している。
米国CSIS(Center for Strategic and International Studies:戦略国際問題研究所)が行ったイラク戦争の取り敢えずの分析・教訓に関する報告(2)では、今次イラク戦争を捉えるキー・ワードを「速度Speed」、「精密Precision」及び「集中Focus」であると分析するとともに、軍事構想の基本は、高い「機動性、柔軟性及び相互運用性」であると指摘、改めてそうした特性の重要性を強調している。また、戦いは当然集団としての武力を相手(敵)に強いることであり、そのためには何らかの「力の集結」が必要である。マイヤーズ統参議長はじめ、軍事専門家・評論家がイラク戦争の特徴のひとつに「Joint」「Integrate」等の表現をしている。CSIS報告書でも「Joint warfare」の重要性をベトナム戦争敗北の教訓のひとつとして学んだ、と記述し、今回その教訓は大きく生かされたと評価していた。
(2)軍事技術的観点から
軍事技術的には、今回も予想通りに精密誘導兵器(PGM)、IT技術応用兵器の戦線投入とその成果の絶大であったことが判明した。米国CSIS報告(2)でも分析されているように、特に今回は民間施設・民間人への被害を局限するため、目標をピンポイント攻撃できる精密誘導兵器が多用され、また、使用爆弾サイズも有効効果が得られる最小のものが使用された。しかし被害を皆無にすることは不可能で、世界のマスコミは攻撃側の米英軍による誤爆・民間被害をメディアで報道し、時に反戦気分を高揚させる場面に使用されたのは関係者にとっては極めて心外だったろう。「湾岸戦争当時は『ある目標を攻撃するために何回の出撃が必要か』を論じたが、今回は『与えられた出撃回数で、いくつの目標を攻撃可能か』と変化した。なおかつ、攻撃効果を自在に選択することも可能となった」とある空軍将校が証言(2)しているように、明確な構想・目標が新たな技術を創生し、それが戦略・戦術を変える、この大きなサイクルが常に米国の軍事力維持・強化の要であると改めて感じられた。
今回の特徴のひとつとして、目標攻撃のために多目的弾を使用する頻度が相当減少したようだ。技術革新の著しい進歩とともに、今まで予測できなかった新たな被害が報告され(例えば、劣化ウラン弾)、或いは、人道的観点からの非難(例えば、気化爆弾クラスター爆弾)があり、また、時限装置つきの爆弾では、一定時間経過後の爆発解除装置までもが必要と論議されるなど、科学技術にもこうしたある意味で人道的配慮が求められる時代となった。このことは、わが国のようにまったく実戦経験のない国の軍事技術研究にとっては大変難しい課題を投げかけることになるように思われる。
米国の著名な未来学者アルビン・トフラー博士が「非殺傷性の高い武器」の開発・使用の必要性を訴えているが、ある目的のためにはそうした武器の開発・使用も確かに有効であろう。
国の安全保障・防衛は完璧でなければならず、失敗は許されない。そのため必要な装備品・武器は有事に役に立たねばならない。しかもそうした優れた装備品は単に技術的に素晴らしいばかりでなく、その国の戦略・戦術と符合していることが必要であると同時に、今後は人道的配慮等難しい制約条件をも考慮しなければならない時代になるのであろうか。
2.わが国の対応状況
(1)全般経過
今般の米英軍によるイラク進攻作戦開始にあたっては、国連による新たな決議を要するのか否かについての議論があった。結果的には新たな国連決議を回避しての開戦となり、米英軍支援に関して当初与野党間のすれ違い的な国会論争があったが、小泉内閣は、自民党はじめ与党と協議の上、いち早く米英軍のイラク展開を支持した。そしてテロ特別措置法で湾岸海域に展開中の自衛艦を引き続きその海域で両軍の作戦支援に当たらせた。また同時に、戦後復興に関してもその実行可能性の検討を開戦後の相当早い段階から関係各省庁に指示した。それまでの国際貢献策が、特にその発動時期がいつも後手後手の感が強かった反省を込めたものであろう。米国側からの要請は、“Boots on the ground(イラクに地上軍を)”という言葉に表された治安回復・維持のための力の支援であったが、わが国政府はそれに対して当初は人道支援、経済支援等5項目の支援策を提示した。勿論期待の一番大きなものは自衛隊派遣による支援である。
だが、自衛隊の支援は、それを軍事的合理性から効果的に行おうとすればするほど全面的な賛成を得られるような状況でないことは明らかである。すなわち、憲法9条解釈、集団的自衛権問題等、「自衛隊の活躍に期待が大きければ大きいほど、そのための全体像、全体の仕組みが整わなければならない」(3)との意見が強いからである。まったくそのとおりで、やっと自衛隊の国際貢献等に対する恒久法を早く制定すべきとの議論が首相から持ち出されたのは先般のことである。
(2)イラク復興支援特別措置法(イラク特措法)制定
これまでわが国政府は、国際貢献のための自衛隊派遣のたびに、任務遂行のための基本とも言うべき「武器使用基準」等を論議し所要の条件を付して派遣してきた。テロ特措法によるインド洋での活動や今回のイラクでの任務遂行は、相手側が必ずしも国を代表しておらず、その意味で大変危険が大きい上に、難しい対応が予測される。それだけにイラク復興支援への自衛隊派遣に関してはそうした状況をもきちんと踏まえたいわゆる「イラク新法」の制定が必要とされている。
自衛隊をイラクに派遣するためのイラク特措法は国会審議を終了し、7月26日未明に成立した。その過程においても、派遣自衛隊の任務遂行を少しでも安全・確実かつ効果的に行えるような論議の展開は殆ど見られず、従前同様の神学論争、曰く「『非戦闘地域』を明確に示せ」。7月23日の国会での党首討論でも菅・民主党党首の同様質問に対し、小泉首相は「(イラクの)どこが非戦闘地域なのか、私に聞かれてもわかるはずがない」と答弁、失笑を買ったが、それが正直なところではないのか。また、自衛隊が十分な活動をし、所要の成果を挙げるためには、任務遂行のためになるべく制約のない状況が望ましく、本来ならば「集団的自衛権」に関しても直ちに行使可能な状態にすべきであり、また常に疑問・議論の中心となる「武器使用基準」に関しては早期の基準見直し、新基準設定が待たれる。
新聞論調に曰く、「新法案の政府要綱では、武器使用基準はPKO協力法などと一緒だ。イラクで想定される活動の一つは、治安維持を担う米英軍などへの物資輸送だが、散発的な戦闘が続いており、危険の予測はつきにくい。現行基準のままでは、輸送トラックなど車列への自爆テロといった妨害を防ぐことは難しいだろう。『民間人の保護』と共に、『任務遂行に対する妨害を阻止するため』という武器の使用規定は、PKOなどに参加する各国軍隊に対し、国連が認めている最低限の基準だ。いま、武器使用基準を見直す理由は、活動内容や派遣地域が危険だからではない。多くの制約が、余りにも実態とかけ離れているからだ。国会審議では、こうした現実を直視する必要がある。」(4)
全くそのとおりである。自衛官を含めない政府調査団の現地偵察結果で法案作成の基本枠をつくり、法案の国会成立後に初めて自衛官を含む調査団を派遣。その手順は逆ではないのか?法案作りも重要ではあろうが、まずは軍事のプロである自衛官を含む専門家の目から見て、真に必要なものは何か、派遣環境はどのようになるのか、等々実態をつぶさに確認した上で派遣の要否、規模、内容等まさに法案の骨格となるものが国民の前に提示され、それを審議・決定する、これが筋道ではないのか?実にいい加減な状態であるかがわかる。実際に命をかけて現地に赴く自衛隊員及び彼らの家族たちの心情を理解し、安全確実に任務を全うすることを願っているのか、大いに疑問を感じる。
3.今後整備すべき方向
今回に限らず、毎回毎回この種国会論議では意思決定されるまでに長い時間と、軍事的常識を外れた神学論争的議論が繰り返されるのは、国民の安全保障・防衛に関する意識の低さと、国の法体系が未整備であるためである。そのため、国際貢献等、ハード、ソフトを含めた自衛隊の能力を海外派遣するためには、その都度、どうでもいいようなかなり根本的な部分から議論し、意思決定しなければならないのが常である。その是正には憲法第9条改正、安全保障基本法(仮称)制定及び最近小泉首相もその必要性を述べた自衛隊の国際貢献に対する恒久法の制定が少なくとも必須案件となろう。
次に考えなければならないのは、「安全保障基本法(仮称)」の制定であろうが、有事法制法案がようやく成立することになり、一歩まともな安全保障環境が整備されたと言えよう。従来の戦争概念を超える国際紛争等にも有効に対処できるためには、古典的、固定的な概念規定をベースにした固い法体制ではなく、アド・ホック的な行動がある程度可能なものであることが本来必要ではないかと考える。
(2)統合防衛戦略の策定
最近自衛隊運用の統合化が話題となっているが、それよりも先に必要なことは、防衛構想をまとめることではなかろうか。しかもそれは国民との対話の上にまとめられなければならない。
昨年度の年報(5)でも紹介したように、欧米諸国は、国防と言う共通の戦争目的を達成するためのニーズとして今後保有すべき能力「ケイパビリティ」を定め、その最善の概念形成と整備を国の総力を挙げて追求している。フランスには「PP30」と称する30年先を見通す予測プランが、英国には同様な20年計画が存在し、国家としての将来計画が明確にされている。不透明、不確実性の強い環境の中で、国民に対して、また、わが国のごとく防衛力整備の実質的な能力を有する民間企業に国としての明確な指針を示しえないで、真に効率的、効果的な防衛力整備が行えるはずがない。
わが国では北朝鮮の核開発疑惑で騒然としている。仮に複数の核兵器が開発され、それが航空機或いは弾道弾で運搬可能なものであれば、わが国に対する脅威は大変に大きい。関連の情報を収集する(4月25日に、わが国の情報収集衛星打ち上げが成功したことは大変喜ばしい)と同時に、本当に脅威が存在する場合に備えた有効な対抗手段を国を挙げて研究・検討・決定し、すぐに態勢整備しなければならない。しかもそうした脅威への対抗手段として大変有効であるとされるのが、例えばシステム構築のため巨額の経費と開発に長期間を要するBMD(弾道ミサイル防衛)であるならば、従来の防衛力整備計画の見直しを含め早急に今後必要となるわが国の「ケイパビリティ」を検討・決定しなければならない。
その際重要なのは国を挙げて行わねばならないことであり、陸・海・空各自衛隊がそれぞれの縦割り分担で個別の防衛構想、装備構想により実施すること、従来の実績で予算規模をシェアーするような防衛力整備方式では所要の各種機能を統合するそうした巨大システムの構築は不可能となろう。いかに既定方針を打破できるか、そのためには特に若手幹部の腕の振るえる活発な討議のための場の設定が期待される。
(3)防衛構想に立脚した装備構想の必要性
わが国には安全保障・防衛戦略は存在するのか?仮に存在するとして、その戦略は現在及び今後の脅威に対して本当に有効な戦略か?現状の研究開発体制で、本当に役に立つ装備品開発が可能なのか?必要なノウ・ハウはどこに、どのような形で蓄積されているのか?官民は必要に応じそれらを共有の財として使用可能な状態にあるのか?一番重要なことは、そうしたことを誰が責任を持って監理・監督しているのか?疑問は限りなく続く。
即ち、軍事技術は最先端の科学技術を駆使するのみならず、政治・軍事戦略等、社会科学分野とも密接に関連する、トータル・コーディネイトされた最高の科学技術であると言えよう。今回の戦いで、米国は「Parallel Warfare」と称される新たな概念を導入した。この新概念は、重要攻撃目標に対して有効と考えられるあらゆる兵器を同時に指向し、至短時間で決定的な戦果を挙げることを狙いとしたものである、とされる。その成功のためにはいわゆるC4ISRが重要なキーを持ち、IT(情報技術)が必須の構成要素技術となる。米国でのRMA(軍事革命)が過去の幾多の戦い等の分析の中から国の安全保障政策とあいまって誕生したことを真摯に学ばなければならない。わが国ではこうした成果物・結果のみをうまく利用する技術は大変得意であるが、その因って来るところの苦労とそれに至る膨大な基礎研究資料を承知することが出来ないのは残念である。このことは昨年度にも指摘したことであり、今回細部の検討は省略する。
(4)隊法100条任務の再検討
1992年6月のPKO(国連平和維持活動)協力法成立以降、明らかに防衛庁・自衛隊の運用は、それまでの本土防衛という本来任務(シングル・トラック)からダブル・トラックとなり、更に緊急援助法、海外邦人救出等の、いわゆる「隊法100条任務」がその後追加されたことにより、マルチ・トラックとなった。こうした傾向は何もわが国自衛隊のみならず、世界各国軍隊の実体である。だが、諸外国政府の対応にはもっと真剣さが感じられる。
例えばドイツでは、国防相が5月21日記者会見し、ドイツ軍の主要任務を国土防衝から国際的な紛争や危機への対処に切り替える新国防方針を発表(6)した。「現状では、通常戦力による攻撃で国土が侵略される事態は想定できない」と、方針転換の理由を説明し、基本法の改正も必要だとの見解を示した。しかも国防予算の増額は望めないため、機動力強化など再編に必要な費用は、国内基地9カ所の閉鎖などでまかなうとしている。
ドイツの例にみられるように、ホットな国家間の戦いの生起する可能性はきわめて低くなったとの判断の下、軍事能力を世界の平和維持・平和回復等のために運用する、いわゆる「戦闘任務以外の任務(MOOTW:Military
Operations Other Than War)」を重視する風潮が強くなってきたことは最近
(5)「安全保障・防衛戦略研究所」の設立
終わりに
安全保障・防衛問題に限らず、わが国には万事政策がない。毎年恒例の行事を恒例のとおり実施しているに過ぎない。国会審議ですら同様である。すなわち、5月3日が近づけば憲法第9条、自衛隊論議を、8月15日が近づけば首相はじめ閣僚の靖国神社参拝問題が判で押したようにきまって新聞、放送の中心的話題となり、次の日には完全に忘却の彼方状態となる。そして外国からこれまた恒例の内政干渉にも等しい批判と非難を受ける。そしてその状況は前年と何も変わらないのが通例である。
なぜこのような状態が繰り返されるのか。国民の大半は辟易し、或いは、大変いやな思いをしている。こうした風潮全体が国民の政治離れを助長していることを政治家自らが感じていないことだ。今回の自衛隊によるイラク復興支援は従前の国際貢献活動とは違った緊張の連続の日々となろう。危険もある意味覚悟しなければない。派遣される隊員全員が無事で、効果的な活動が可能となるように、真剣な検討と、それを可能とする関係諸施策の早急な整備を望みたい。
参考文献
2.CSIS, “The
Instant Lessons of the Iraq War” (Executive Summary), 4/23/03
3.平成15年4月19日、読売新聞朝刊記事「イラク後と日本」
4.平成15年6月12日、読売新聞朝刊記事
5.小林貞雄、「防衛技術研究開発について考えること」、
6.平成15年5月23日、読売新聞朝刊記事「独軍、国際紛争対処中心に」
7.(財)産業研究所、「先進諸国における防衛産業政策の動向に関する調査研究」、平成15年3月、p.183-184