直面する脅威への対応に関する一考察

 

(財)DRC研究専門委員

高 山  雅 司

 

はじめに

非対称脅威という言葉は、1996年に米軍が使い始めた。湾岸戦争以後は、圧倒的に優越する米軍事力の裏をかく対抗手段でもって、その軍事力の優位性を無能化する可能性や恐れを非対称脅威と定義した。米国は、非対称脅威として大量破壊兵器(核、化学・生物兵器)による挑戦、インフォ−メーション・ウオ−フェアによる挑戦、安価で入手容易なハイテク兵器による挑戦、テロリズム、宇宙利用の挑戦などを挙げている。 非対称脅威の中でも今最も注目するべきは、自殺テロと弾道ミサイルに大量破壊兵器が加わった場合である。

世界に衝撃を与えた9月11日の同時多発テロは非対称脅威の典型である。現在も中東、アジアでは自殺テロが多発している。自殺テロが世界中に恐怖を拡散し拡大している。この傾向が続くと世界は混乱状態に陥り、日本にも飛び火する可能性は十分にある。今や地球上安全といえる場所はなくなった。

非対称脅威を防ぐには、今までの考え方や常識では駄目である。自殺テロ等に対するために自らを防御する努力と同時に目的を同じくする国々のより密接な国際的協力及び連携が必要である。日本は憲法の制約とか政策上の制限により、その活動は限定されていたが、今後はそれを乗り越えた日本の積極的な貢献が国際社会から期待され、また必要とされる時代となった。

 

1.     新しい脅威

(1)跋扈する自殺テロの恐怖

911同時多発テロは、確信的かつ計画的な自殺テロである。自殺テロは、1994年頃から目立ち始めパレスチナのイスラエルに対する自殺テロは現在も続いており2002年だけで33件を数える。自殺テロは世界中に広がり海上の船舶も対象となり、インドネシア、イラクでも件数は増え続けている。テロ組織の中でイスラム過激派グループは、ジハードと称して自殺テロリストは死後神に近い聖者となると教え、子供、女性までもテロリストに仕立て上げる。テロ組織は弱い国に入りこむか、十数カ国あるテロ支援国家の支援を得て拠点を確保し国際的なネットワークを形成している。テロリズム、ゲリラ戦争は古くから存在するが、国際テロ集団のネットワーク化に加えて中世から生き残った狂信的な原理主義は無差別殺人及び自殺テロを日常化した。そこには話し合い、説得など妥協の余地のない厳しい環境が生まれ、この暴力を制するには治安を維持し脅威を除去する軍事力以外に有効な手段がまだ見つからない。

米国国務省は、200210月現在で海外36団体をテロ集団と指定している。主要なテロ組織はアルカイーダ、ハマス、ヒズボラ、イスラミック・ジハード、アンサーム・イスラム、アブサヤフ、ジェマ・イスラミア(JI)等である。

テロ事件は、2000年には426件、2001年には346件発生している。テロの目標として従来は軍事施設・大使館等を狙っていたが警備が厳しくなりホテル、レストランなどもターゲットにする無差別になりつつある。

(2)大量破壊兵器と弾道ミサイルの拡散

防御手段がほとんどない弾道ミサイルが拡散し無差別大量殺人を企図し実行するテロリストグループに大量破壊兵器を運搬する手段として渡れば、国際社会への最大の脅威となる。自殺テロリズムに大量破壊兵器が結びつけば世界を破滅させかねない恐るべき脅威に変身する。

米国は2001年イラク、北朝鮮、イランを悪漢国家と呼びその大量破壊兵器及び弾道ミサイルの取得拡散及びテロリスト支援を懸念している。イラク戦争によりイラクからその懸念は去ったが、北朝鮮とイランには依然としてその疑惑は残っている。

 

2.国際社会の対応

同時多発テロ以降、米国主導のテロリズム対抗策には中露までが加わり、先進国首脳会議、国連安全保障理事会等で声明や宣言が行われ、テロ対策国際条約制定に拍車がかかるとともに対テロ作戦が行われている。大量破壊兵器及び弾道ミサイルの拡散防止にも努力が継続されている。イスラエルとパレスチナ暫定政権との間に和平交渉が継続されているが自殺テロは後を絶たない。

20038月現在、国連決議に基づき米国主導の対テロ作戦Enduring Freedom等が遂行中であり、米国以外21カ国が陸上部隊(特殊部隊等を含む)を派遣中である。米、英、仏、独、伊、カナダ、ギリシャ、スペイン及び日本は艦艇を派遣している。国際社会はアフガニスタンの再建に協力して欧州諸国が中心となった32ヶ国約5千5百人の国際治安支援部隊(ISAF)がNATO指揮下で治安維持に当たっている。イラク戦争は、国連安保決議及び査察の継続、戦争の開始等を巡り米英と仏独の意見が対立し、主として英米の多国籍軍によるイラク攻撃が行われ、主要な戦闘は4週間で終わりフセイン政権は崩壊しイラクは多国籍軍により占領されたが、フセイン大統領の逮捕及び大量破壊兵器の発見ができず、治安の回復も遅れ国連によるイラク社会のインフラ機能回復も足踏み状態である。

197010月の国連総会宣言で、いかなる国も他国においてテロリストを組織し、扇動し、支援し、参加すること、また自国においてテロ行為に直結するような行動を黙認することがあってはならないとの原則を決め、以後、これを再確認や補完する国連安保理決議が数多く出されている。テロ行為を国際的な犯罪として認定し、テロリストが世界中何処にいても逮捕され、引き渡されあるいは訴追されるような法制度が構築されている。

国際刑事警察機構は、テロ対策班を設け手配テロリスト等の記録、写真、諮問、犯行手口などを世界中に配布するなどして各国のテロ対策に協力している。

1970年以降ハイジャック防止、爆弾テロ防止、核物質防護、航空機を危険に陥らせる行為、人質防止、テロ資金供与防止に対処等のテロ関連の国際条約が制定されている。

先進国首脳会議におけるテロ関連の宣言は、1978年のボン・サミット(第4回先進国首脳会議)宣言で航空機のハイジャックに関する共同声明、1980年ベネチア・サミット(第6回先進国首脳会議)でテロリズムに関する声明が出され以降毎回のサミットでテロリズムに関する宣言が実施されている。

 

3.米国等の対応

米国は、20026月「国土安全保障に関する国家戦略(National Strategy for Homeland Security)」を発表した。この中にはテロ等に対し先制攻撃の可能性も述べている。ブッシュ大統領は、多様な脅威に対応するため本土防衛を重視し国内関係機関を統括する国土安全保障省(Department of Homeland Security) の創設を発表し、初代の長官は元ペンシルバニア州知事のトム・リッジ氏が2003124日に就任した。国土安全保障省は、これまで20以上の連邦政府機関に分散している国土安全保障に係わる機能を一つの省に統合し、人員は約16万9千人である。同省の主要な任務は、@国境及び輸送の安全、Aテロ攻撃を受けた場合の対処、B大量破壊兵器を検知し国民の安全を確保する技術の開発、C国土に迫る脅威に関する情報の一元的な処理などである。

米国は、軍の近代化を推進し中でもミサイル防衛の実現に努力を傾注している。米軍は再編成され国土防衛を担当する北方軍(North Command :NORTHCOM)を設け、北米地域の防衛、国土安全保障省の関係機関や、州・地方自治政府に対する支援、CBRNE兵器使用事態対処をその任務としている。

欧州各国は、情報収集能力の強化、テロ作戦部隊の強化整備、テロ対応法令の制定整備等国内のテロ対策を実行している。軍と警察との連携は、日本よりも緊密である。

 

4.日本への脅威

アジアでは、経済大国である日本がテロ等の恰好の標的になり易い。日本は、四面海に囲まれかつては世界一といわれた警察の存在の故か危機や安全に関する観念が希薄である。最近は外国人犯罪や凶悪犯罪の急増、検挙率の大幅な低下、拉致問題などにより安全に関する日本の態勢が予想以上に脆弱であることがわかってきた。非対称脅威には平時も有事もなく、前線と後方の別なく、誰もが被害を受ける立場にあるといえる。

(1)北朝鮮の脅威

北朝鮮は、1993年に初めてノドン・弾道ミサイル(射程1,300km、現在、配備数約200基と推定される)を発射し、日本に届く弾道ミサイルを保有していることを示した。また19988月に日本列島を越えて飛ばしたテポドン・弾道ミサイル(1型:射程2,500km、2型:射程6,700km)は、米国にも達するといわれる。

特に北朝鮮は、昨年10月ウラン濃縮による核兵器開発中を認め、今年は核拡散防止条約から脱退し、非公式ながら核兵器保有をほのめかした。北朝鮮は、1970年よど号ハイジャック犯人である日本赤軍の保護、1987年大韓航空機の空中爆破事件、1983年ラングーンでの韓国閣僚18人爆死事件、日本人等の拉致誘拐など過去に多くのテロを行っている。弾道ミサイルをイラン、パキスタンを始め中東諸国に輸出していることは200212月スペインの軍艦の北朝鮮貨物船に対する臨検により隠されたイエーメン向けのスカッド15発が発見されたことで証明された。麻薬については、日本への工作船、豪州における北朝鮮貨物船からの多量の押収が挙げられる。国交のない北朝鮮船舶の日本への入港数は毎年増加し、平成9年に782隻であったのが平成14年には1,344隻と倍増している。これらの船舶は、覚醒剤や偽札の日本への密輸、北朝鮮への不正送金、大量破壊兵器製造機器及び弾道ミサイルに使用される部品の密輸に関わっている疑いがある。1994年のKEDO協定に違反した核兵器開発を継続している。1972年南北非核宣言等の国際条約や国際的な約束は守らない。国家ぐるみで偽ドルを印刷して海外で北朝鮮外交官が所持使用するケースも発覚している。

(2)自殺テロ攻撃等

アルカイーダをはじめ国際テロ集団は、世界中にネットワークを張り巡らしている。自殺テロ攻撃の可能性は世界中に拡大している。アジアでもジェマイヤ・イスラミアやアブサヤフ等アルカイーダ関連テロ集団が存在し、インドネシアでは重大な自殺テロ爆破事件2件を起こし、フィリッピンでは激しいテロ攻撃活動が見られ、タイ、シンガポール、マレーシアでの関連テロリストの逮捕が報じられている。日本も予想外の手段による自殺テロ攻撃を受ける可能性はある。

中国の核弾頭付き弾道ミサイル(CSS-2,CSS-5)は、日本を射程内に入れており攻撃能力は十分あるが、現状では脅威に発展する可能性は低い。

 

5.日本の対応

今後、日本は自殺テロ及び弾道ミサイル等の非対称脅威に対応する態勢を作り上げなければならない。グローバルなテロリズムに対しては、自らの努力も必要であると同時に海外在留邦人や財産保護のためにも国際協力への参加は必至である。

日本の対応で重要なのは、北朝鮮の武力を背景にした恫喝やテロリストの恐怖に屈しない体制を作り上げることである。そのためには、安全保障に関する国内の改革が必要になろう。国際社会共通の敵であるテロや国際犯罪への対応、そして悪漢国家の手にある大量破壊兵器の除去は、国際社会の共同作業である。国対国ではなく、今や国際社会対テロリズム等の図式であり、時代は変わったとの認識が必要である。

(1)北朝鮮の弾道ミサイルへの対応

a.米国の核の傘への依存

万が一、核兵器搭載のノドン・ミサイルが日本に向け発射されたならば、現状では、自衛隊にも米軍にも飛んでくるノドン・ミサイルを撃墜阻止する能力はない。今ひたすら期待できるのは、米軍の持つ強力な打撃力によるノドン攻撃前の北朝鮮への先制攻撃及び北の核攻撃への報復反撃である。これにより抑止するか、北朝鮮からの追加攻撃を阻止することにより被害の拡大を防ぐだけである。米軍の確実なる反撃は抑止力として北朝鮮の攻撃を抑制する可能性は高く、現状ではこのことに期待せざるをえない。これは核の傘の考えであり、冷戦時の米ソ間は相互確証破壊戦略の下で人類滅亡にいたるかもしれなかった核戦争の危険を孕みながらも相互抑制が効き安定していたが、北朝鮮の場合は過去の言動から良識と信頼は期待できず核使用の敷居は低く不安定であることが懸念される。

b. ミサイル防衛(Missile Defense)の速やかな実現

筆者は2001DRC年報に「ミサイル防衛への期待」を書いたが、この2年間にミサイル防衛をめぐる環境は、一般傾向として私の主張どおりに変化してきている。

ミサイル防衛は、多層システムで弾道ミサイルの飛翔の段階を上昇、中間、終末の3段階に分け地上、海上、航空機、宇宙から迎撃するプラットフォームを開発中で、一部は既に実用の段階に達している。終末段階では地上配備型のペトリオットPAC−3が実用の段階にあり、中間段階では地上配備中間段階防衛システム(従来のGBI)、海上配備中間段階防衛システム(従来のNTWD)は2004年に、上昇段階では航空機搭載レーザーが(ABL)が2009年に配備予定となっている。2003年9月、在日米海軍司令官はミサイル防衛能力を持つ最初のイージス艦が日本に配備されるであろうと述べている。日本は、これらのミサイル防衛システムを当面は北朝鮮のノドン・ミサイルへの対処として、長い眼では中国の弾道ミサイルに対抗できる能力を目指し、速やかに導入するべきである。当然、衛星・航空機によるミサイル発射探知システムは、米軍が地球規模で展開するので米軍との共同なしには運用できない。弾道ミサイルを無能化するミサイル防衛は、核弾頭付き弾道ミサイルの持つ圧倒的な政治的軍事的な価値を下げ、弾道ミサイル及び大量破壊兵器保有を望む国の意欲を殺ぎ、結果として軍備拡張を抑制することが期待できる。

(2)国際テロへの対応

既に政府によるテロ初動処置、テロ特別措置法など対策処置はいろいろと採られている。今後更に自殺テロも考慮し整備すべきものとして次が考えられる。

a.テロ等に対応できる組織の構築

テロ等の非対称脅威に対して米国の国土安全保障省のように各官庁公共機関を統合し一致協力して対応できる体制を作る。それは、指揮・管理・通信・コンピューター・情報・監視・偵察(CISR)の機能を備え必要な脅威の情報が収集できる常設の司令部機構を持ち、全国の関係機関部隊に命令できることであろう。そしてテロ対処専門部隊を整備し保有する。地方でも警察、海上保安庁、消防を結集し、法令により自衛隊が加わる仕組みを作る。また、国際貢献を含む海外の邦人救出、PKO、イラク支援派遣等も一括コントロールする。

危機管理の概念の普及と国民の自覚を図る民間防衛の組織を作ることも必要である。スイス等の外国例を参考にして国民が相互に協力して情報連絡、相互扶助、被害極限などで公共機関に協力する。そのために消防、警察、自衛隊のOBも活用できよう。

b.テロ等に対応できる関連法令の整備

自衛隊にも平時任務を与える領域警備法、海上からのテロを阻止も含むテロ組織を壊滅させる反テロ法、対サイバーテロ法、国際テロ条約に応じる法等を整備する。

c.テロ等への対応能力の整備

対処能力としてはミサイル防衛、優れた探知能力として偵察衛星、無人及び有人偵察機、大量破壊兵器検知装置等、市民との区別が付き難い敵には殺傷することなく無能化する能力即ち非殺傷兵器等、テロリスト等の活動地域によっては起こり得る市街戦についても対応できる訓練が関係機関に必要である。

抑止能力としては、敵のミサイル基地に反撃または攻撃できる能力は米軍に依存するとしても自らも戦闘爆撃機、PGMミサイル等を保有し能力を持つことは望ましい。

防御能力としては、民間機を含む航空機に携帯対空ミサイル等からの回避装置、防毒マスク、救急装備、解毒剤、ワクチン等の個人装備を用意する。

機能維持能力としては、国民の生活を支える水の予備、食糧の備蓄、緊急輸送手段を確保し、電気、水道、代替予備機能を保有し国民生活の基盤を維持する。

被害極限能力としては、インフラの抗堪性を高め、公共施設等の消火装置、シェルター、密閉エアコン等を設備し電力、通信、交通機関には緊急措置対策と被害を受けた場合致命傷にならないように23重のバックアップを考慮する必要がある。

情報伝達能力としては、中央と地方が相互に情報交換ができる通信と組織を整備し、正確な情報が上下ともに円滑に伝達できることが重要である。

d.テロ等事態の発生原因除去への積極的な関与―環境の整備

海外では、日本国民・国益をテロ等の脅威から守るための平素からの情報収集警備体制の強化及び同盟国等国際社会の安全確保に協力する。テロ集団、国際犯罪集団の撲滅、テロ国家の変革、テロ支援国の支援阻止に参加する。テロ支援国へは、外交を通じ支援を止めるように説得・抗議する。説得のできる相手ではない場合が多いと思われるが、国際社会と協力し国連への提訴をはじめ経済制裁等も含む圧力を掛け、テロ行動(支援)をやめさせる。大量破壊兵器・弾道ミサイル等の不拡散防止の国際条約や国際レジームなどに積極的に関与し先制攻撃を含む拡散対抗にもできるだけ積極的に支持協力する。

国内では国民の安全を確保するインフラを整備し避難所及び緊急物資、医薬品等の救急体制を整備する。

関連情報を早期入手し国内のテロ等支援組織の動静を把握し状況により対応する。

e.テロ等の水際阻止と排除

ゲリラ・テロリスト等の入国及び大量破壊兵器等の密輸入を水際で阻止する。

国際社会と協力しテロ等の無力化を行うが、大量破壊兵器等日本が対抗手段を保有しない脅威への対抗は同盟国等の援助を受ける。

(3)日本の国際協力

国際協力がなければミサイル防衛もテロ対策も極めて限定されたものになる。テロ等非対称脅威に対しては、国際協力が国家の務めである。テロ等排除のための国際協同作戦に積極的に参加協力する。

a. ミサイル防衛の傘

イージス艦が持つ広域をカバーできるミサイル防衛能力を利用したミサイル防衛の傘()の形成を2001DRC年報で提案した。2002年、米海軍が公表したSEAPOWER 21によれば米海軍はミサイル防衛対応水上行動群(Missile-defense Surface Action GroupsSAG)を9つ編成する計画である。SAGはイージス艦3隻で構成され、2隻はミサイル防衛に他の1隻は通常の防空任務に当たる。SAGはトマホークも搭載するので陸上に対する打撃力も保有する。これはまさにミサイル防衛の傘を差し掛ける部隊である。日本の海上自衛隊のイージス艦はこのSAGと共同することができる。日本は核の傘はさせないが将来はミサイル防衛の傘はさせる。日本の上空を飛び越えて行く他の国を攻撃する弾道ミサイルは日本への攻撃とみなしこれを撃破すると宣言することも1法である。仮に日本を飛び越してハワイ等を攻撃する弾道ミサイルは7艦隊のイージス艦が迎撃することは必定であり、そのとき日本は能力をも持ちながら憲法に固執するあまり手をこまねいているならば、同盟国として人道に外れる結果になる。集団自衛権の解釈云々の神学論争は、国を滅ぼす。弾道ミサイルは大量殺人兵器であり、これを撃墜しても基本的には人の被害はでない。悪の弾道ミサイルは、国際社会共通の敵として断固撃墜するべきである。ミサイル防衛の傘は、それを求める同盟国・友好国へ提供すれば安全を保証し国際的な安定を増進することになろう。

b.多国籍艦隊による海上テロへの対応

テロリズムは、国際社会共通の敵である。国際社会共通の目的のためには、ボーダーレスの共同対処が必要である。韓国は、イージス艦を取得しブルーウオーター海軍を編成する計画であり、金大中前大統領は2001年の韓国海軍兵学校での訓示で将来、シーレーン防衛の国際艦隊への参加構想を述べたと報道された。海上テロ・海賊等の国際社会への敵に対して世界一の米海軍を核として日韓のみならず、中国・ロシア・台湾も加わった合同任務部隊による対応が将来可能になるかもしれない。防衛研究所が提案しているオーシャンPKOとも共通するものである。日本のみならず国際社会が直面するテロ等の共通の脅威に対する共同対処は今後、当たり前とする仕組みや規則が打ち立てられるべきである。

c.宗教、民族問題関連した対立の緩和・除去への協力

日本はその特徴を生かしていわゆる「文明の衝突」を避ける役割の一翼を期待されるかもしれない。その理由として日本は国内に民族問題を抱えていないこと、アラブとイスラエルの対立ではどちらにも加担しない政治的中立を保っていること、宗教的にも1神教との対立はないこと等から宗教、民族問題に関連した対立の緩和・除去に動きやすく世界における非対称脅威低減に影響を与え同盟国米国及び国際社会に貢献できる可能性はある。

(4)日米安保はやはり一番大事

今までの検討を通じて新しい脅威に対応する場合、同盟国である米国との関係は常にでてくる。それほど日米安保が重要な役割を果たしていることを意味する。日本自身が先制攻撃能力を持つべきかどうかは論議されるところである。能力を持つことと行使することは別問題であるのでトマホーク等ACMAdvanced Conventional Munitions)の保有計画も検討する必要はある。これらの兵器は持つにしても米軍からの提供になるので、先制攻撃が必要な時は日米同盟に基づく槍の立場である米軍に依頼するのが無理なく合理的であると考えられえる。

論議のある日本の核武装についても現状では賢い選択とはいえない。できるならば、しない方が良い。戦略環境が悪化し日本が核攻撃をされる最悪の事態になれば、やむを得ない選択もあるかもしれないが、米軍の核の傘に期待しその信頼を増す努力の方が先である。米軍も平時から同盟国友好国との連合訓練の必要性を述べている。特に大量破壊兵器及び弾道ミサイル対処には米軍の協力は必要不可欠である。

 

おわりに

日本政府はいち早く『テロ対策特措法』を公布施行しインド洋へ自衛艦を派遣し、同盟国を支援すると同時に国際社会の一員としての責務を果たした。

日本の社会は繁栄し豊かであるが故にテロリストのターゲットとしての価値があり、日本にもその脅威が波及してくる可能性は十分にある。日本は非対称脅威に対しては多くの弱点を持ち対処する準備は無防備に近く極めて不十分であるといえる。そのため、非対称脅威に即応できる国家の態勢及び国民の安全を守り被害を極限する民間防衛組織を一日も早く作り上げることである。それは国家のもてる力を結集組織化するものであり、それを動かす指揮通信情報管理機能が恒常的に存在しなければならない。冷戦後の紛争多発時代に米国等諸外国では軍隊の役割を拡大し非対称脅威にも対処できるように変革している。自衛隊も領域警備法等により法制面で警察・海上保安庁等と協力して平時にも柔軟に活用ができるようにし、能力的・機能的にはテロ・大量破壊兵器に対処できる能力例えばミサイル防衛などを持つべきである。

非対称脅威を抑止し封じ込めることは国際社会共通の目標である。国内外の力を結集し日本も国際社会へ積極的に協力できる態勢を確立しなければならない。米国はテロリズムを支援して世界の秩序を乱す悪漢国家等が大量破壊兵器等保有することを防ぐために国際社会と協力して先制攻撃もその選択肢の一つにいれている。自殺テロや大量破壊兵器の脅威は今までの国家間の関係とは違うので、従来の防衛に関しての日本憲法の範囲や集団自衛権の解釈などに拘り過ぎると自分自身が守れなくなる。加えて世界の平和と安定に寄与するために日本が同盟国米国及び国連と密接に連携してテロとの戦や大量破壊兵器・弾道ミサイルの拡散対抗へ積極的に参加協力することで国際社会の一員としての責任を果たさねばならない。

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